詩|『火種』

作品集

朝、ひとつ
未来のために 目覚ましを飲む
今日も 仕事へ向かう
誰にも言わないまま
心に、小さな火を抱えて

昼、ふたつ
レジの奥で
ノートの切れ端に
浮かんだ言葉を、そっとメモする
誰も見ていないけど
私はちゃんと、私を見ている

夜、みっつ
部屋の明かりの下
15分だけでも、詩を書く
言い訳しない
未完成でもいい
燃えたまま眠れるなら、それでいい

この火は
誰かの評価で灯るんじゃない
「私は、私でありたい」という
静かな決意で燃えている

焦る日もある
間に合わない日もある
でも、私はもう知っている
心に火を持っている限り
人生は終わらない

今日もひとつ、
火種を抱えて
生きる
誰にも奪わせない私の火で
未来を、炊いていく

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