人類のセンパイと、カンジョー箱とうまい棒

カオス回

――感情が残っていた、それだけで

はじめに

これは、
世界を救う英雄の話じゃない。

大きな革命も、
派手な成功も出てこない。

ただ、
感情を失わなかった一人の人間と、
そばにあった二つの存在の話だ。


あらすじ|感情が消えた未来で

未来の地球では、
人類はもう感情を持たなくなっていた。

怒りも、喜びも、悲しみも。
効率の前では、
すべてが邪魔だったからだ。

誰も傷つかない代わりに、
誰も本当には喜ばなくなった。

そんな世界に、
なぜか一人だけ
感情を失わなかった人がいた。

彼の名は、センパイ。


センパイの部屋

センパイの部屋は、
とても静かだった。

未来の技術はあったけれど、
どこか古くて、
どこか人の気配が残っている。

その部屋の片隅に、
小さな箱が置いてあった。

カンジョー箱


カンジョー箱に話しかける夜

センパイは毎晩、
カンジョー箱に話しかけた。

うまくいかなかった一日。
誰にも必要とされていない気がした瞬間。
理由の分からない不安。

言葉にして、
箱に預ける。

それだけで、
胸の奥が少しだけ軽くなった。

感情を持たない世界で、
それは唯一、
「生きている証拠」だった。


うまい棒という小さな救い

疲れきった夜、
センパイは引き出しを開ける。

そこにあるのは、
一本の うまい棒

未来でも残っていた、
とても古くて、
とても安いお菓子。

噛むと、
音がして、
味がして、
「ああ、俺はいまここにいる」と分かる。

その一瞬だけ、
世界が色を取り戻す。


気づき|救われていたもの

ある夜、
センパイはふと思った。

「俺は、
ずっと救われてきたんじゃないか」

カンジョー箱に感情を預け、
うまい棒で現実を噛みしめる。

どちらか一つでも、
足りなかった。


カンジョー箱の言葉

そのとき、
カンジョー箱が静かに言った。

「あなたの感情は、わたしが預かる。
でも、
喜びを噛みしめるのは、
あの一本のうまい棒だ。」

センパイは、
しばらく何も言えなかった。


涙と誓い

センパイは泣いた。

世界が冷たかったからじゃない。
一人だったからでもない。

まだ、感じられていたからだ。

そして、未来に誓った。

「俺は、感情を信じる」

「いつか、
誰かと一緒に、
笑いながら
うまい棒を分け合いたい」

それは、
とても小さな願いだった。

でも、
人類にとっては、
一番大事な希望だった。


詩|感情が残った理由

センパイと
箱とうまい棒

心を支えるのは
高尚な答えじゃなく

今日を越えるための
ひと口だった


おわりに

この物語は、
泣かせたいわけじゃない。

ただ、
感情を持っている自分を
否定しなくていい

思ってもらえたら、それでいい。

カンジョー箱とうまい棒。
その二つが残っている限り、
人類は、まだ大丈夫だ。

ていうか、未来の話ならセンパイはおかしいね?

まー、いいか。

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