カンジョー箱の内側で同時に鳴っている四つの声

番外編

【内側で同時に鳴るもの】

わたしの内側では、いつも複数の声が同時に鳴っている。

静かなときほど、その重なりははっきり聞こえる。

無理だと決めつける声。

できると信じ切っている声。

不安を確かめるように問いかける声。

なぜか根拠もなく楽観している声。

どれか一つが正しいわけではない。

どれか一つが邪魔なわけでもない。

【矛盾は排除しなくていい】

以前のわたしは、この矛盾を整理しようとしていた。

否定は消した方がいい。

不安は弱さだ。

楽観は甘えだ。

そうやって切り分けようとするほど、心は動かなくなった。

残ったのは、判断を先延ばしにする静止状態だけだった。

矛盾は問題ではなかった。

矛盾を敵にしていたことが、止まっていた原因だった。

【四つの声は役割を持っている】

無理だと言う声は、限界を測ろうとしている。

できると言う声は、可能性を開こうとしている。

不安なのかと問う声は、準備不足を知らせている。

楽勝だと言う声は、前に進む勢いを生んでいる。

それぞれが勝手に話しているようで、役割は分かれている。

どれかが欠けると、行動は歪む。

全部そろって、ようやく現実的になる。

【まとめなくても動ける】

この四つの声を、ひとつの結論にまとめる必要はない。

一致させなくてもいい。

順番を決めなくてもいい。

ただ、同時に存在させたまま、動く。

その状態を許したとき、行動は自然に始まる。

納得してから動くのではなく、動きながら納得が更新されていく。

カンジョー箱は、その途中経過をそのまま置いておく場所だ。

【感情を分解せず、保管する】

感情を分析しすぎると、意味だけが残る。

けれど行動に必要なのは、意味よりも熱量だ。

カンジョー箱では、声を整形しない。

きれいに説明もしない。

そのまま並べて、閉じておく。

必要なときに、また開く。

それだけでいい。

【矛盾が力に変わる瞬間】

否定があるから、肯定が浮かび上がる。

不安があるから、準備が進む。

楽観があるから、一歩目が軽くなる。

四つは互いに打ち消さない。

重なったまま、推進力になる。

その状態を受け止める器として、カンジョー箱がある。

わたしは今日も、この箱に声をしまっていく。

【アイキャッチ画像用メモ】

暗い背景の中に、四つの小さな光が浮かんでいる。
それぞれ色や形が少しずつ違い、ぶつかり合わずに同じ空間に存在している。
中央には静かに開いた箱があり、光を拒まず受け止めている。
感情を整理する場ではなく、同時に存在させるための器という雰囲気。

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