まる

シリーズ1(内面)

『はじまりのスケッチ』
第6話|まず、箱を作った

実家を出てから、毎月の生活費を自分で支払うようになった。大きな資金を使わないこと。在庫を抱えないこと。維持費を抑えながら続けられること。そんなことを考えながら、新しい方法を探していた。もう一度、何かを作りたい気持ちも残っていた。約一年半前、...
シリーズ1(内面)

『はじまりのスケッチ』第2話|次はどこに描く?

猫は、スケッチブックの上でゆっくりと歩き始めた。鉛筆で描いた線の上へ前足を置き、ページの端まで歩いていく。そこで立ち止まると、隣の白いページを見た。 そして、私を振り返った。「それで、次はどこに描く?」「次?」「ここには、もう描いたんだろ」...
シリーズ4(ファンタジー)

カンジョー薬局

世界のどこかに、気持ちを小瓶にしまう薬局がある。うれしくて眠れない夜も。理由もなく寂しい朝も。その店では、調合の材料になる。店の名前は「カンジョー薬局」。看板には、手描きの文字。「いらっしゃい。今日の気分、調合するよ」でっさんが扉を開けると...
シリーズ7(事業構築ログ)

まるが、まだ決まらない

作者は、まるを描いていた。最初は、何も着ていない猫だった。丸くて、素朴で、悪くない。けれど、少し物足りなく見えた。次に、筆のようなしっぽをつけた。カンジョー通帳らしくなった気がした。でも今度は、絵を描く猫に見えすぎた。作業着を着せてみた。自...
カンジョー通帳

シリーズ7|飛ぶ前の人|飛行隊長まる|第10話|名前のない祭り

この記事の要約一年後の祭りでは、一つの過ごし方を示す名前はなくなっていた。飛ぶ人、飛ばない人、見るだけの人が、それぞれの時間を過ごしていた。飛行隊も飛ばせることより、安全と見守る役割を担っていた。倒れた看板には、多くの人が残した選択の言葉が...
カンジョー通帳

シリーズ7|飛ぶ前の人|飛行隊長まる|第9話|今日だけ飛びたいでっさん

この記事の要約祭りのあと、静かな飛び台ででっさんは飛ぶことを決めた。現在の飛行隊長は危険性だけを伝え、判断は本人へ委ねた。まるは「飛行隊長」の札を外し、自ら道を空けた。誰も止めず、誰も背中を押さない中で、でっさんは階段を駆け上がった。飛ぶこ...
カンジョー通帳

シリーズ7|飛ぶ前の人|飛行隊長まる|第8話|まるのいない日

この記事の要約祭りが終わり、飛行隊本部では役割が少しずつ分かれていた。まるがいない日でも、人々は自分たちで飛び台を整え始めた。一人が立てた案内板に、別の人が言葉を書き加えていった。現在の飛行隊長は、その言葉を消さず、看板の釘だけを打ち直した...
カンジョー通帳

シリーズ7|飛ぶ前の人|飛行隊長まる|第7話|まるの命令書

この記事の要約飛行隊本部から運び出された記録や備品が広場へ並べられた。まるは、自分が出した過去の命令書と向き合うことになった。ばつは命令書を燃やすことを止め、「責任」として残すよう伝えた。現在の飛行隊長は、本人が申し込んでいない名前を飛行名...
カンジョー通帳

シリーズ7|飛ぶ前の人|飛行隊長まる|第6話|裏口のベンチ

この記事の要約飛行隊本部の裏口には、記録を読み終えた人たちが静かに集まっていた。長いベンチは、誰も何も決めなくていい休む場所として使われていた。まるは長いベンチを二つに分け、それぞれが持ち帰れる形へ変えた。人々は椅子や杖、目印や薪など、自分...
カンジョー通帳

シリーズ7|飛ぶ前の人|飛行隊長まる|第5話|号令

この記事の要約祭りは続いていたが、飛び台では点検が優先されていた。元飛行隊長まると現飛行隊長、それぞれが異なる立場で判断を下した。急かされて飛んだ経験を語る人が現れ、広場は静かに耳を傾けた。まるは保管庫を開き、語られてこなかった記録を外へ運...