シリーズ7|積み上げたいと思った―積み上げる未来を選んだ物語―|あとがき

カンジョー通帳

あとがき

この物語を書きながら、最後まで変えたくなかったことがあります。

それは、「未来が決まっている人の物語」にしないことでした。

主人公は、最初から進む道が見えていたわけではありません。

どの働き方がいいのか。

何を事業にすればいいのか。

どれを選べば正解なのか。

その答えは、最後まで分かりませんでした。

だから、可能性を探しました。

新しい案を考えました。

途中まで手をつけたこともありました。

けれど、設計図だけでは街はできません。

未来も変わりません。

この物語で少しずつ変わっていったのは、「何を選ぶか」ではなく、「どう生きるか」でした。

新しい可能性を探し続けることよりも、今日、一つ積み上げること。

少しずつ、その選び方へ変わっていきました。

途中で止まる日もありました。

迷う日もありました。

誰にも届かない日もありました。

それでも、置いたレンガは残ります。

書いた物語も残ります。

公開した記事も残ります。

積み上げたものは、すぐに未来を変えるわけではありません。

でも、未来は積み上がったものの上にしか作られません。

このシリーズで描きたかったのは、「頑張れば成功する」という話ではありません。

努力すれば報われる、という約束でもありません。

未来は分かりません。

結果も保証されません。

それでも、自分で積み上げる未来を選ぶことはできます。

主人公が最後に選んだのも、それでした。

正解がある未来ではなく、積み上げながら育てていく未来。

完成した街ではなく、今日も少しずつ建設が続く街。

この物語は、その工事の記録です。

もし今、たくさんの可能性の前で立ち止まっている人がいるなら、未来を決めることから始めなくても大丈夫です。

まずは、小さなレンガを一つ置いてみてください。

その一つは小さくても、昨日にはなかった未来です。

今日も未来都市では、新しい建物が一つ完成したわけではありません。

それでも昨日より、一つだけ未来が積み上がっています。

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