『はじまりのスケッチ』
第4話|外へ出たかった

シリーズ1(内面)

参考書を見ながら、Illustratorの基本的な使い方を一通り覚えた。
線を引く。
形を作る。
色を重ねる。
スケッチブックの猫も、パソコンの中へ移すことができた。
できることが増えるほど、もっと知りたいと思うようになった。
Illustratorの操作だけではない。
デザインについて、さらに学びたかった。


私は、新しい環境へ進むことにした。
せっかく始めるなら、普段の環境も変えたい。
それまで続けていたアルバイトも変えた。
新しい技術や考え方に触れながら、パソコンの前で手を動かした。
昨日まで分からなかったことが、少しずつ分かるようになる。
それが楽しかった。


一通り学んだあとも、私はしばらくIllustratorで創作を続けた。
部屋で一人、パソコンに向かう。
線を引き、色を選び、思いついたものを形にする。
作っている間は、時間を忘れた。
自分の中にあるものが、少しずつ画面へ現れていく。
自分の世界を作ることは楽しかった。


けれど、一人で黙々と作業を続ける毎日は、少し寂しかった。
収入にならないことへの不安もあった。
ただ、それだけではなかった。
自分の世界は作りたい。
でも、もっと人とも関わりたい。
部屋の中だけではなく、もっと外へ出て動き回りたかった。


私は、仕事を増やした。
入れられるだけ予定を入れ、目いっぱい働いた。
創作とは違い、働けば、その分だけ収入になった。
疲れはした。
それでも、部屋で一人きりだったときとは違う時間が流れていた。


働いて得たお金が、少しずつたまっていく。
私は、そのお金で何か新しいことを始めようと考えた。
早く結果を確認できること。
同じ方法を繰り返せば、ある程度は結果を再現できそうなこと。
そうして、欧米輸入転売を始めた。

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