『はじまりのスケッチ』
第5話|早く稼ぎたかった

シリーズ1(内面)

目いっぱい働いて貯めたお金を元手に、私は欧米輸入転売を始めた。
海外から商品を仕入れ、販売する。
売れれば、画面に数字が表示される。
創作とは違い、結果がすぐに分かる。
同じ方法を繰り返せば、また売れるかもしれない。
そこに、即効性と再現性を感じていた。


しかし、仕入れた商品が、その月のうちにすべて売れるわけではない。
売れていない商品が残っていても、次の月には別の商品を仕入れる。
仕入れに使ったお金が戻る前に、また次の仕入れ代が必要になる。
売上はあった。
けれど、仕入れや手数料などを差し引いて確認すると、最終的な結果は赤字だった。
私は一度、欧米輸入転売から離れた。


それでも、やり方を変えれば、次はうまくいくかもしれないと思った。
二度目の挑戦をするため、私は再び仕事を増やした。
休みをほとんど取らずに働き、お金を貯めた。
毎日働いていたが、不思議と嫌な気分ではなかった。
もう一度挑戦する。
その目標へ近づいていると思うと、働くことが楽しかった。


必要なお金が貯まると、今度は有料のコンサルタントへ申し込んだ。
一度目とは違うやり方で、欧米輸入転売へ挑戦した。
それでも、仕入れにはまとまった資金が必要だった。
売れていない商品があっても、次の商品を仕入れる。
売上だけでは見えない負担が、少しずつ大きくなっていった。
二度目の挑戦も、最終的には赤字だった。


その後、私は実家を出た。
家賃や生活費を、毎月自分で支払うようになった。
大きな資金を使わないこと。
在庫を抱えずにできること。
固定費を抑えながら続けられること。


私は、別の方法を探し始めた。
それでも、心のどこかには、もう一度何かを作りたい気持ちが残っていた。

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