あとがき
この物語で描きたかったのは、「飛ぶこと」ではありません。
「飛ぶかどうかを、自分で決められること」です。
世の中には、挑戦することが正しいと言われる場面があります。
一歩踏み出した人が称賛され、
立ち止まる人は勇気が足りないと言われることもあります。
反対に、
挑戦なんてしない方がいい。
失敗するくらいなら動かない方がいい。
そんな言葉に出会うこともあります。
けれど、そのどちらも誰かの答えです。
この物語で描きたかったのは、
飛ぶことでも、
飛ばないことでもありません。
「自分で決めること」です。
今日は飛ぶ。
今日は飛ばない。
まだ決めない。
途中で戻る。
見るだけにする。
そのどれもが、自分で選んだ答えなら、その人の人生です。
まるは飛ぶことを否定したかったわけではありません。
飛ばないことを勧めたかったわけでもありません。
ただ、
誰かが決める飛び台ではなく、
自分で決められる飛び台にしたかった。
だから飛び台を止めました。
だから記録を開きました。
だから命令書を残しました。
そして最後には、「飛行隊長」という肩書きを置いて道を譲りました。
制度が人を動かす場所から、
人が自分で決められる場所へ。
この物語は、その小さな変化を描いた物語です。
一年後。
飛び台は、誰かが正解を教える場所ではなくなりました。
飛ぶ人。
飛ばない人。
見るだけの人。
迷っている人。
それぞれが、自分の選んだ時間を過ごしていました。
それが、この街の日常になりました。
今日飛ぶ人も、
今日飛ばない人も、
まだ決めない人も。
この飛び台は、今日も静かに待っています。

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