この街には、最後まで完成した建物はほとんどありませんでした。
工事が進む日もあれば、何もできない日もありました。
記録ばかり整えた日。
未来ばかり眺めた日。
完璧な設計を考え続けた日。
休むと決めた日。
自分が作っているのか、それとも道具に作られているのか分からなくなった日。
街の名前を見ることさえ苦しくなった日。
そして、気づけば何週間も門を閉じたままだった日。
この物語で描きたかったのは、「毎日続けることの大切さ」ではありません。
毎日続けられない日があること。
止まる日があること。
距離を置く日があること。
それでも、それまで積み上げてきたものは消えないということです。
物語の中で描かれた発電所は、街を支えるための土台でした。
目立たないけれど、長く工事を続けるために必要な力です。
現実で言えば、体力や健康、生活を整えることのようなものかもしれません。
設計局は、とても優秀な道具でした。
便利だからこそ、「これは誰が作っているんだろう」という問いが生まれます。
その答えを、この物語は出していません。
きっと、人それぞれ違う答えがあるからです。
未来都市の巨大模型は、まだ手に入っていない未来でした。
事業でも、夢でも、理想でも構いません。
未来を見ることには意味があります。
でも、未来を見ることと、今日レンガを一つ積むことは、同じではありません。
だからこの街は、完成しませんでした。
完成させることよりも、残し続けることを選んだからです。
門が閉まる日があってもいい。
工事が止まる日があってもいい。
また開けられるように、その街が残っていることの方が大切です。
入口に立っている札には、「完成」とは書かれていません。
「再開」とも書かれていません。
ただ、一言だけ。
工事中。
この街は、完成した街ではなく、いつでも工事中の街です。

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