飛ぶことができた日よりも、飛べなかった日のほうが、人生には多いのかもしれません。
あと一歩が出なかった日。
準備ばかりしていた日。
怖いと言えなかった日。
何も決められず、ただ座っていた日。
この物語は、そんな「飛ぶ前」の時間を書きたくて生まれました。
飛び台は、今日も高いままです。
飛ぶ前ベンチも、あの場所にあります。
飛ぶ前センターは、まだ建設中です。
完成する日は、来ないのかもしれません。
人も。
感情も。
人生も。
きっと、ずっと建設中だからです。
だから今日も、飛べなくて大丈夫。
飛ぶ前の時間にも、ちゃんと意味があると、この街は知っています。
私も、ときどきそのベンチに座ります。
何も決めなくていい日があります。
ただ座って、風が通り過ぎるのを待つだけの日があります。
もしあなたにも、そんな日があるなら。
この街のベンチは、いつでも空いています。


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