この結末は、選びたくない

シリーズ4(ファンタジー)

1年後、でっさんは、去年とよく似たメモを開いていた。

自分の仕事を作る。
海外で暮らす。
新しいことに挑戦する。

言葉は、今も魅力的だった。

読むと、少し気持ちが上がる。
新しい案も浮かぶ。

「今度は、これならいけるかもしれない」

でっさんは、新しいページを作った。



調べたことは増えていた。

知っているサービスも、商売のやり方も増えた。
保存した動画は、全部見るには時間が足りなかった。

けれど、誰かに使ってもらったものは、ほとんど増えていなかった。

まだ、確かめたいことがある。
もう少し、説明を整えたい。
これより良い案が、あるかもしれない。

その判断を繰り返すうちに、また季節が変わった。



仕事から帰ると、疲れていた。

今日も、自分の仕事には手がつかなかった。

でっさんは、未来の計画を眺めた。

海外の暮らし。
自分の商品。
幾つもの小さな事業。

考えている間は、そこへ近づいた気がした。

画面を閉じると、今日の部屋に戻った。

明日も早い。

「休みの日に、まとめてやろう」

その休みの日にも、何から始めるかを考えていた。



新しいものを見つけても、自分にはまだ早いと思うようになった。

面白そうな集まりがあっても、何か形にしてから行こうと思った。

出してみたい作品があっても、今の出来では伝わらない気がした。

もう少し自信がついたら。

そう思いながら、自信をつけるために試せる場面も、見送っていた。

暮らしの中から、初めての出来事が減っていった。



ある日、古いメモの日付が目に入った。

書いた日のことを、覚えていた。

あの日は、本当に楽しみだった。
これから違う毎日が始まると思っていた。

でっさんは、ページをめくった。

よく似た願いが、別の日にも書かれていた。

やりたくなくなったわけではなかった。

今でも、やりたかった。

それなのに、試した結果を話せるものが少なかった。

「やってみたら、どうなったんだろう」

その答えを、まだ持っていなかった。



そこで、でっさんは映画を止めた。

これは、まだ迎えていない未来だった。

今の自分を眺めると、すでに公開した物語がある。
実際に挑戦してきた経験もある。

それを、次の仕事につなげたいと思っている。

でっさんは、新しい構想を書き足そうとしていた手を止めた。

今日は、何を外へ出すだろう。

作りかけのものを、一つ開く。

誰かに見せられる部分を選ぶ。
どこを使ってみてほしいか、一言添える。

この先のページには、考えたことだけでなく、実際に起きたことも残したかった。

でっさんは、そのための作業を始めた。

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