シリーズ5|世界拡張局―「自分には関係ない」を見つける物語 ―|第1話|地図の外側

カンジョー通帳

この記事の要約

  • 世界拡張局は、誰にも確かめられていない場所を再び地図へ戻す仕事をしている。
  • 都市地図に「未調査区域」を示す赤い印が新たに確認された。
  • 簡易調査隊が現地へ向かったが、地図にあるはずの道は消えていた。
  • 原因は分からず、調査は中止となり再調査が決定した。
  • 世界拡張局は、新しい世界ではなく、最初から存在していた世界を見つけ直そうとしていた。

🧭 判断ログ

判断:未調査区域を正式な調査対象として扱う
場面:都市地図の赤い印が未調査区域として確認された場面
やり方:簡易調査隊を編成し、地図をもとに現地確認を行った
変化:地図に存在する道が現地では消えていることが判明し、未調査区域の再調査が正式に決定した


物語

朝の世界拡張局では、巨大な都市地図を囲むように局員たちが集まっていた。

世界拡張局の仕事は、新しい世界を作ることではなかった。

「自分には関係ない」と思われたまま、誰にも確かめられていない場所を見つけ、もう一度地図へ戻すことだった。

海外地区、創作地区、旅地区、挑戦地区。

どれも都市には存在している。

それでも、自分には関係ないと思う人にとっては、地図の外側と変わらなかった。

その朝、一枚の都市地図へ新しい赤い印が付いた。

部屋の空気が静かに変わる。

担当局員が資料を机へ置き、「未調査区域です」と報告した。

でっさんは地図をのぞき込む。

赤い印の先には細い道が一本描かれ、その先だけが白く空いていた。

局員が資料を開く。

発見は今日ではなかった。

以前から地図には記録されていた。

ただ、一度も現地確認が行われていなかった。

存在は知られていた。

それでも誰も確かめていなかった。

局長は短く現地確認を指示した。

翌朝、簡易調査隊が編成される。

正式隊員ではないほしいも、当然のように加わった。

でっさんは赤い印の付いた地図を持ち、都市の外縁部へ向かった。

最初は地図どおりだった。

舗装された道が続き、街路樹が並んでいた。

しかし進むにつれ建物は減り、風だけが強くなる。

先頭の局員が足を止めた。

でっさんも前を見る。

道が消えていた。

地図には続いている。

しかし目の前には草地しかなかった。

舗装は途中で途切れている。

隊員たちは周囲を調べた。

別の入口を探し、座標を確認し、地図を見直した。

結果は変わらなかった。

地図には道がある。

現地には存在しない。

原因は分からず、安全確認もできないため、その日の調査は中止となった。

夕方、世界拡張局へ戻ると会議室では報告書がまとめられていた。

未調査区域確認。

接続経路消失。

原因不明。

再調査。

記録はそれだけだった。

局員たちは次の仕事へ戻っていく。

でっさんだけが地図の前に立ち止まった。

存在は知っていた。

それでも誰も行かなかった場所。

そこは本当に地図の外側だったのか。

それとも、「自分には関係ない」と思われ続けた結果、誰も歩かなくなっただけだったのか。

赤い印は静かに地図へ残っている。

世界拡張局の仕事は、世界を広げることではない。

最初から存在していた世界を、もう一度見つけることだった。

※この文章は、あくまで私の主観による文章です。


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