シリーズ5|世界拡張局|第2話―「自分には関係ない」を見つける物語 ―|見えない扉

カンジョー通帳

この記事の要約

  • 世界拡張局の倉庫区画付近で謎の扉が発見された。
  • でっさんは周囲へ報告する前に扉を開いた。
  • 警報が作動し局内は騒然となった。
  • 扉の先には未調査区域へ続く通路が存在していた。
  • 関係者以外立入禁止という表示だけが残されていた。

🧭 判断ログ

判断:発見した扉を開ける
場面:倉庫区画の壁に現れた古い金属製の扉を見つけた場面
やり方:周囲へ報告する前に取っ手を握り、自分で扉を開いた
変化:警報が作動し、海外地区・創作地区・挑戦地区・旅地区へ続く通路の存在が判明した


物語

昼過ぎの世界拡張局は静かだった。

未調査区域の報告書は提出されたまま動きがなく、会議室の机には資料だけが積まれていた。

でっさんは自分の仕事を終えたあと、局内を歩いていた。

局員たちはそれぞれの机に向かっていて、廊下にはほとんど人がいない。

そのまま長い廊下を進み、普段は倉庫として使われている区画の近くまで来た時だった。

壁に違和感を覚えた。

色が少し違う気がした。

近づいて触る。

硬い壁だった。

何も変わったところはない。

だが視線を横へずらした瞬間、そこに扉があった。

古い金属製の扉だった。

塗装は剥げ、取っ手には錆が浮いている。

さっきまで気づかなかったのに、今は当たり前のようにそこに立っていた。

でっさんは周囲を見回した。

誰もいない。

再び扉を見る。

やはりある。

そのまま取っ手を握った。

冷たい感触だった。

少し力を入れると鍵は掛かっていなかった。

でっさんはそのまま扉を開けた。

次の瞬間、局内に警報が鳴り響いた。

赤い警告灯が回転し始める。

静かだった廊下が一気に騒がしくなった。

でっさんは開いた扉を見たまま立っていた。

数秒後、複数の足音が近づいてくる。

局員たちが廊下へ集まってきた。

資料を持ったまま走ってくる者もいる。

誰かが大声を上げた。

誰が開けたのか確認するためだった。

全員の視線がでっさんへ向く。

しばらく沈黙が続いた。

その中にいたかんがは、警報音の中を歩いて扉の前まで来た。

でっさんは開いた扉を指差した。

かんがは何も言わずに中を見る。

扉の向こうには細長い通路が続いていた。

照明は暗く、奥は見えない。

その入口の横に古い案内板が付いている。

でっさんは近づいて文字を読んだ。

海外地区。

さらに奥の扉には創作地区。

別の扉には挑戦地区。

そして旅地区。

どれも都市地図で見たことのある名前だった。

存在は知られている。

だが実際に足を運ぶ者は少ない。

世界拡張局が調査対象として扱う区域ばかりだった。

局員たちは黙って案内板を見ていた。

警報音だけが廊下に響いている。

その時、かんがが扉の上を見上げた。

そこには文字が浮かんでいた。

関係者以外立入禁止。

古い扉には似合わないほどはっきりした表示だった。

でっさんはその文字を見た。

そして腕を組んだ。

海外地区に行ったことはない。

創作地区も知らない。

挑戦地区も旅地区も同じだった。

関係者ではない。

少なくとも今まではそうだった。

だが扉は開いた。

誰かに呼ばれたわけではない。

許可をもらったわけでもない。

ただ見つけて開けただけだった。

かんがは表示を見続けていた。

関係者という言葉が気になっていた。

最初から関係者だった人間がいるのか。

それとも一度足を踏み入れた人間が関係者になるのか。

答えは分からなかった。

警報はまだ鳴り続けている。

通路の奥は暗いままだった。

未調査区域へ続く道が消えた翌週。

今度は局の中に入口が現れた。

報告書にはまだ何も書かれていない。

ただ一つ記録できることがあった。

存在を知っているだけの場所へ続く扉が、世界拡張局の中で見つかったという事実だった。

※この文章は、あくまで私の主観による文章です。


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