この記事の要約
- 街に「不安禁止令」が掲げられ、前向きな空気が広がった。
- 広場では未来を語る声と笑顔が一日中あふれていた。
- よろこは、いつもいたかなしとばつの姿が見当たらないことに気づく。
- まるは夕暮れのベンチで、静かに空を見上げていた。
- 街は明るくなった一方で、姿を見せなくなった人がいることが残った。
🧭 判断ログ
判断:街が明るくなる一方で、姿を見せなくなった人がいることに気づいた。
場面:夕方、かなしとばつを探しながら広場から帰る場面。
やり方:いつもいる場所を歩いて見回し、人の様子を確かめた。
変化:笑顔の街の中でも、いなくなった人の存在を意識するようになった。
物語
朝、広場に新しい掲示が貼り出された。
でっさんが近づくと、大きく「不安禁止令」と書かれていた。
その下には「弱音は禁止」「ネガティブな発言は禁止」「未来を信じよう」と並んでいる。
掲示の前には人だかりができ、「いい街になる」「前向きなのが一番」「気持ちは明るいほうが飛べる」という声が続いていた。
反対する人は見当たらず、拍手が広場へ広がっていった。
よろこもその輪の中で笑顔を見せていた。
明るくいたほうがいいという言葉にうなずき、隣にいたたのしも笑いながら拍手を送っていた。
そのまま二人は人の流れにまぎれ、広場を歩いていった。
昼になると街のあちこちで「今日も元気」「大丈夫」「きっとうまくいく」という声が聞こえていた。
飛び台の前でも、本屋でも、ベンチの近くでも、人は笑いながら未来の話をしていた。
昨日より明るい街になっていた。
夕方になり、人が少しずつ帰り始めるころ、よろこは飛び台の近くで足を止めた。
いつも見かけるかなしの姿がなかった。
本屋の前を見てもいない。
広場を見渡しても見当たらない。
たのしに聞くと、「今日は来てないみたい」と返ってきた。
よろこは「そうなんだ」とだけ答え、また歩き始めた。
少し進むと、今度はばつの姿も見えないことに気づいた。
壁にもたれて街を眺めている姿が、いつもならある場所だった。
「忙しいのかな。」
たのしが軽く言う。
よろこも「そうかもね」と返した。
それ以上は続かなかった。
笑顔のまま歩いていたが、足取りだけが少しゆっくりになっていた。
帰り道、飛び台へ向かう途中のベンチには、まるが一人で座っていた。
本も持たず、ほうきも持たず、ただ空を見上げている。
風が吹き、雲が流れ、鳥が一羽、飛び台の先を横切っていった。
まるは鳥を追わず、そのまま座り続けていた。
でっさんも少し離れた場所で立ち止まり、その様子を見ていた。
よろこは声をかけなかった。
まるも振り向かなかった。
広場からはまだ笑い声が聞こえてくる。
街は朝から変わらず明るかった。
その明るさの中で、姿が見えなくなった人がいることに気づく人は、まだ多くなかった。
※この文章は、あくまで私の主観による文章です。
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