シリーズ7|飛ぶ前の人|飛行隊長まる|第2話|飛び台の階段

カンジョー通帳

この記事の要約

  • 祭りは始まったが、まるは飛び台の先端から動かなかった。
  • 飛ぶことだけが正解ではないと、まるは新しい選択肢を示した。
  • 飛びたい人、飛びたくない人、迷っている人に、それぞれの居場所が生まれた。
  • 迷っている人たちは飛び台の階段へ静かに座り始めた。
  • 階段は迷っている人で埋まり、誰も飛び始められなくなった。

🧭 判断ログ

判断:飛ぶか飛ばないかではなく、迷っている人は途中に座るよう位置を分けた。
場面:祭りの司会者から参加者への言葉を求められた場面。
やり方:飛びたい人は上、飛びたくない人は下、分からない人は途中と伝え、迷っている人の場所を飛び台の階段につくった。
変化:迷っている人が階段へ集まり、飛び台へ向かう通路が人で埋まり、誰も飛び始められなくなった。


物語

祭りは始まっていたが、飛び台の先端にはまだまるが立っていた。

司会者はその姿には触れず、笑顔のまま飛べ飛べ祭りの開始を宣言する。

音楽が流れ、去年飛んだ参加者が壇上へ呼ばれた。

「飛んで、本当に人生が変わりました。」

拍手と歓声が広場を包む。

その横を、よろこが案内板を持って歩き、来場者を受付へ案内していた。

舞台裏では、かなしが裏方の担当を告げられ、そのまま幕の向こうへ入っていく。

飛び台の階段では、ばつが一段目へしゃがみ込み、木材へ入った細い亀裂を指先で確かめていた。

報告書を書いて責任者へ渡す。

責任者は紙を折り、「祭りが終わってから確認します。」とだけ言って歩き去った。

その様子を見ていたいかりが、小さくつぶやく。

「落ちてから直すのか。」

返事は返ってこなかった。

広場では受付が続いていた。

飛ぶ予定のない見学者や付き添いにも飛行申込書が配られていく。

断る人より、受け取る人のほうが多かった。

司会者は飛び台の先端を見上げ、大きく手を振る。

「元隊長から、これから飛ぶ皆さんへ一言お願いします!」

音楽が少しだけ小さくなった。

まるは広場を見下ろし、静かに口を開く。

「今日は、飛ばなくていい。」

拍手が止まり、風だけが旗を鳴らした。

続けて、まるは言う。

「飛びたい奴は、上へ行け。」

「飛びたくない奴は、下へ座れ。」

「分からない奴は、途中に座れ。」

誰もすぐには動かなかった。

やがて一人が飛び台の階段の途中へ腰を下ろす。

その隣へ、もう一人。

ほしいも上でも下でもない段を選び、静かに腰を下ろした。

でっさんは、その隣へ座る。

何も話さなかった。

少し離れた場所にも一人。

さらにまた一人。

人が少しずつ階段へ座り始める。

飛びたいとも、飛びたくないとも決められない人たちが、静かに階段を埋めていった。

上へ向かおうとしていた人が足を止める。

「通れない。」

でっさんは立ち上がり、道を空けようとして一段下へ降りようとした。

そのとき、後ろを振り返る。

後ろの段にも人が座っていた。

さらにその後ろにも、そのまた後ろにも、人が続いている。

迷っている人だけで、階段はいっぱいになっていた。

でっさんはしばらくその景色を見つめる。

そして元いた段へ戻り、もう一度静かに座った。

飛行隊員たちが階段の下へ集まり、通路を空けるよう呼びかける。

誰も立たなかった。

誰も押し合わなかった。

ただ、座っていた。

飛び台の先端からその様子を見下ろしたまるは、一言だけ口にした。

「空いていない。」

音楽は流れ続け、屋台も営業を続けていた。

祭りは終わっていなかった。

それでも飛び台へ続く階段だけは、迷っている人たちが座り続ける場所になっていた。

※この文章は、あくまで私の主観による文章です。


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シリーズ7事業構築ログ

主役キャラ:まる

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世界観強化型

理由:世界観の価値観を象徴する場面であり、シリーズ全体の軸となるエピソードのため。

商品化方法:シリーズ設定資料・電子書籍・note・世界観ガイド。

販売単位:複数記事まとめ。


⚠️ 安全上の注意

この物語に登場する「飛ぶ」という行為は、人生の選択や挑戦を描くための創作上の表現です。
現実の高所から飛び降りる行為を勧めるものではありません。
大変危険です。絶対に真似をしないでください。

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