色々と吐き出せるところ

シリーズ4(ファンタジー)

でっさんは、白い画面に文字を置いた。

《ここに、色々と吐き出していい》

ばつが隣に座った。

「まとまってなくても?」

「うん」

ばつは、文字を打ち始めた。

《嫌だって言いたかった》
《でも、言わなかった》
《あとから、ずっと腹が立ってる》

途中で止まり、また書いた。

でっさんは画面をのぞかず、お茶をいれた。



いかりは、勢いよく書いた。

かなしは、一行書いてから、長く手を止めた。

ほしいは、まだ誰にも話していない願いを書いた。

たのしは、思いついたことを次々に並べた。

文章になっていない言葉もあった。

誰かに聞いてほしいことも。
誰にも見られたくないことも。

書き終えたら、自分で消せるようにした。



みんなが離れたあと、でっさんも座った。

《何かを始めたい》
《楽しいことをしたい》
《でも、今日は色々と疲れた》

そこまで書いて、しばらく眺めた。

続きは浮かばなかった。

でっさんは、そのまま手を止めた。



カンジョー通帳に書いた。

《色々と吐き出せるところを作った》

まるが隣に座った。

「使ってみて、どうでした?」

「今日は、結論まで書かなくていいのがよかった」



でっさんは通帳を閉じた。

画面の続きは空いたままだった。

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