1年後、でっさんは、去年とよく似たメモを開いていた。
自分の仕事を作る。
海外で暮らす。
新しいことに挑戦する。
言葉は、今も魅力的だった。
読むと、少し気持ちが上がる。
新しい案も浮かぶ。
「今度は、これならいけるかもしれない」
でっさんは、新しいページを作った。

調べたことは増えていた。
知っているサービスも、商売のやり方も増えた。
保存した動画は、全部見るには時間が足りなかった。
けれど、誰かに使ってもらったものは、ほとんど増えていなかった。
まだ、確かめたいことがある。
もう少し、説明を整えたい。
これより良い案が、あるかもしれない。
その判断を繰り返すうちに、また季節が変わった。

仕事から帰ると、疲れていた。
今日も、自分の仕事には手がつかなかった。
でっさんは、未来の計画を眺めた。
海外の暮らし。
自分の商品。
幾つもの小さな事業。
考えている間は、そこへ近づいた気がした。
画面を閉じると、今日の部屋に戻った。
明日も早い。
「休みの日に、まとめてやろう」
その休みの日にも、何から始めるかを考えていた。

新しいものを見つけても、自分にはまだ早いと思うようになった。
面白そうな集まりがあっても、何か形にしてから行こうと思った。
出してみたい作品があっても、今の出来では伝わらない気がした。
もう少し自信がついたら。
そう思いながら、自信をつけるために試せる場面も、見送っていた。
暮らしの中から、初めての出来事が減っていった。

ある日、古いメモの日付が目に入った。
書いた日のことを、覚えていた。
あの日は、本当に楽しみだった。
これから違う毎日が始まると思っていた。
でっさんは、ページをめくった。
よく似た願いが、別の日にも書かれていた。
やりたくなくなったわけではなかった。
今でも、やりたかった。
それなのに、試した結果を話せるものが少なかった。
「やってみたら、どうなったんだろう」
その答えを、まだ持っていなかった。

そこで、でっさんは映画を止めた。
これは、まだ迎えていない未来だった。
今の自分を眺めると、すでに公開した物語がある。
実際に挑戦してきた経験もある。
それを、次の仕事につなげたいと思っている。
でっさんは、新しい構想を書き足そうとしていた手を止めた。
今日は、何を外へ出すだろう。
作りかけのものを、一つ開く。
誰かに見せられる部分を選ぶ。
どこを使ってみてほしいか、一言添える。
この先のページには、考えたことだけでなく、実際に起きたことも残したかった。
でっさんは、そのための作業を始めた。




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