この記事の要約
- 休工中も設計局では新しい設計図が次々と生まれていった。
- 以前より短い時間で街の構想が形になるようになった。
- 便利さの一方で、設計の主体について考え始めた。
- 完成へ近づく設計図と止まった工事現場の対比が残った。
- 街を作っている存在への問いだけが静かに残った。
🧭 判断ログ
判断:設計図を見返し、設計の主体が誰なのかを考えた。
場面:設計局で設計台が作成した図面を確認し、一枚ずつ見直した。
やり方:図面を比較し、赤い鉛筆で修正しながら、設計内容と作成過程を確認した。
変化:設計図は増えたが、自分がどこまで街づくりに関わっているのか分からなくなった。
物語
休工の札を掛けてから、何日かが過ぎた。
工事現場は静かなままだった。
それでも設計局だけは、以前より少し賑やかになっていた。
部屋の奥には、新しい設計台が置かれている。
図面を広げると、街の形に合わせて道を引き、建物を配置し、橋の角度まで考えた案が並んでいく。
迷う時間は短くなった。
思いつかなかった形も次々と机の上へ現れる。
ほしいは設計図を一枚ずつ広げていく。
「この道も。」
「こっちの橋も。」
「市場はここでもいい。」
次から次へと新しい案へ手を伸ばしていた。
でっさんは赤い鉛筆を持つ。
少しだけ線を引き直す。
すると設計台は、その線に合わせて別の図面を静かに広げた。
また一枚。
さらにもう一枚。
机の上は整った設計図で埋まっていく。
以前なら何日も考えていたことが、一日のうちに形になった。
便利だった。
本当に便利だった。
夕方になり、図面を丸めようとして手が止まる。
その横で、かんがが一枚ずつ図面を見返していた。
市場を見つめる。
橋を見つめる。
街路樹の並びを見つめる。
赤い鉛筆を机へ置く。
「この市場を考えたのは誰だろう。」
かんがは図面をめくる。
橋の位置を決めたのは。
風向きを考えて街路樹を並べたのは。
最初に道を曲げたのは。
どの図面にも名前は書かれていなかった。
設計台は黙ったまま、次の白紙を待っている。
ほしいは新しい紙を手に取ろうとする。
けれど、かんがは白紙を見つめたまま動かなかった。
でっさんは窓の外を見る。
工事現場には誰もいない。
組みかけの鉄骨は、あの日と同じ高さで止まっている。
街はまだ、一つも完成していない。
それなのに設計図だけは完成へ近づいていく。
図面を筒へ戻し、棚へ立て掛ける。
設計局の明かりを消す。
暗くなった部屋には、机と設計台だけが静かに残っていた。
扉を閉める直前、かんがはもう一度だけ設計台を振り返る。
でっさんは小さく口を開いた。
「……この街は、誰が作っているんだろう。」
設計台は何も答えなかった。
部屋には、まだ描かれていない白紙だけが残っていた。
※この文章は、あくまで私の主観による文章です。
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シリーズ7事業構築ログ
主役キャラ:かんが
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