シリーズ5|世界拡張局―「自分には関係ない」を見つける物語 ―|第4話|自分には関係ない世界

カンジョー通帳

この記事の要約

  • 未調査区域の調査隊募集が志願制で掲示された。
  • 説明会では参加を強制されず、それぞれが自分で選ぶことになった。
  • ほしいとばつは、それぞれ異なる立場から未調査区域について考えた。
  • かんがは申込書の前まで進んだが、その場では名前を書かなかった。
  • 「自分には関係ない」と思っていた世界が、自分で選ぶ対象へ変わり始めた。

🧭 判断ログ

判断:未調査区域への参加を自分の意思で考え始めた
場面:志願制の調査隊募集が掲示され、申込書の前で立ち止まった場面
やり方:説明を聞いたあと申込書の前まで行き、ペンを持ったが、その場では名前を書かずに考え続けた
変化:「自分には関係ない」と通り過ぎることはなくなり、自分が選ぶ対象として未調査区域を見るようになった


物語

朝、世界拡張局の掲示板の前には局員たちが集まっていた。

でっさんも足を止める。

昨日までなかった紙が一枚貼られている。

赤い印の横には「未調査区域 調査隊募集」と書かれ、その下には「志願制」とだけ添えられていた。

誰も紙をはがそうとはしなかった。

けれど、誰も申込書に名前を書こうともしない。

そのまま説明会が始まった。

会議室で局長は未調査区域について説明した。

道が消えた場所であること。

原因は分かっていないこと。

安全確認も終わっていないこと。

資料を閉じたあと、局長は「参加するかどうかは、自分で決めてください」とだけ伝えた。

命令ではなかった。

推薦でもなかった。

選ぶことだけが残された。

説明が終わると局員たちは席を立ったが、誰も申込書へ向かわなかった。

会議室には迷う空気だけが残っていた。

その静けさの中で、ほしいが「行ってみたい」と小さく口にした。

すぐに、ばつが危険性を挙げた。

何も分かっていないこと。

道が消えること。

行く理由が見つからないこと。

ほしいは否定せず、「だから気になる」とだけ返した。

会議室には二つの考え方が並んだ。

危険だから行かないという考えと、分からないから行ってみたいという考えだった。

どちらも相手を否定することはなく、それぞれがそのまま残った。

その様子を見ながら、かんがは昨日の資料館で読んだ本を思い出していた。

『自分には関係ないと思っていた世界』という題名と、本に書かれていた記録が頭に浮かぶ。

かんがは席を立ち、掲示板の前へ向かった。

申込書を見つめ、ペンを持つ。

名前を書く場所まで手を動かしたところで止まった。

しばらくそのまま考えたあと、ペンを置いた。

名前は書かなかった。

その様子を見ていたでっさんが近づく。

かんがは「まだ決められない」とだけ答えた。

そして少し間を置いて、「関係ないとは思わなくなった」と続けた。

その言葉を聞いて、でっさんも申込書へ目を向けた。

昨日までなら、そのまま通り過ぎていた紙だった。

今日は立ち止まり、記入欄を見ている。

それでも名前は書かなかった。

夕方になっても申込書には空白が多く残っていた。

朝と違っていたのは、その前で立ち止まる局員が増えていたことだった。

一度読んで去る人もいる。

考え込んで戻ってくる人もいる。

誰も急いで結論を出そうとはしなかった。

帰る前、でっさんはもう一度掲示板の前で足を止めた。

申込書には手を伸ばさなかった。

それでも、「自分には関係ない」と考えることは、もうなくなっていた。

※この文章は、あくまで私の主観による文章です。


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シリーズ5カンジョー未来都市

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