シリーズ1|ちゃんとしようとすると苦しかった|第3話|履歴書の顔

カンジョー通帳

この記事の要約

  • 夜の部屋で、履歴書の志望動機を書いていた。
  • 正しい言葉は並ぶのに、身体だけが重くなっていった。
  • 履歴書の文章に、自分の感覚が入っていないことへ気づいた。
  • やりたい訳ではないまま進もうとしていた。
  • 画面は閉じたが、保存だけは消せなかった。

物語

夜だった。

机の上には、開いたままの履歴書が置かれていた。

白い画面。

入力欄。

志望動機。

わたしは、キーボードへ指を置いたまま止まっていた。

静かだった。

部屋の中には、パソコンのファンの音だけが小さく響いている。

何を書けばいいのかは分かっていた。

安定したい。

成長したい。

経験を活かしたい。

社会に役立ちたい。

転職サイトにも、面接動画にも、何回も出てきた言葉だった。

だから、文章は作れた。

それっぽい形にも出来た。

実際、変ではなかった。

ちゃんとしていた。

でも。

書けば書くほど、身体が重くなっていった。

呼吸も浅くなる。

視線が落ちる。

画面の白さだけが、妙に眩しかった。

わたしは、一回椅子へ深くもたれた。

疲れていた。

何時間も悩んでいる訳じゃなかった。

それなのに、もう頭が熱かった。

その時だった。

かんがが、机の横へ立っていた。

静かな顔だった。

感情的ではない。

ただ、じっと画面を見ていた。

わたしは、何となく言う。

「……別に間違ってないよな」

かんがは、すぐには答えなかった。

代わりに、履歴書の文章を見ていた。

安定。

成長。

社会貢献。

どれも正しい言葉だった。

でも。

どこにも、わたしがいなかった。

かんがが、小さく言う。

「それ、本当に書きたいことか?」

その瞬間だった。

胸の奥が、少し冷える。

視線が止まる。

言葉が入ってこなくなる。

画面には、ちゃんとした文章が並んでいた。

でも。

書いている顔が死んでいた。

そこで初めて気づく。

「これ、やりたい訳じゃないな」

静かだった。

その言葉を言った瞬間、急に全部が崩れそうになった。

じゃあ何がやりたいのか。

どこへ行きたいのか。

どう生きたいのか。

何も分からない。

でも。

少なくとも、この文章のまま進もうとしている時の身体は、ずっと苦しかった。

ばつが、後ろで笑う。

「ほらな」

「結局、お前よく分かってねぇんだよ」

胸の奥が重くなる。

でも、否定も出来なかった。

わたしは、履歴書の画面を閉じる。

保存しますか、と表示が出る。

少し迷う。

そのあと、保存だけ押した。

消すことも出来なかった。

机の上には、静かな空気だけが残っていた。

※この文章は、あくまで私の主観による文章です。


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シリーズ1内面

主役キャラ:かんが

世界観構築,発信戦略,試行錯誤,迷い,葛藤,C12内省深化,かんが,ばつ,でっさん,L3商品化可能,束ね商品型,回収B_90日以内に束ね候補,通帳アーク_対峙

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