シリーズ6|次の景色が近づいてくる|第6話|はじめてのジム

カンジョー通帳

この記事の要約

  • 勢いで契約した運動施設へ行く日になった。
  • 場違い感と怖さで、何度も引き返したくなった。
  • 入口の前で止まりながらも、中へ入った。
  • マシンは重く、周囲との差も強く感じた。
  • 帰りの電車で、少しだけ姿勢が変わった気がした。

物語

朝から落ち着かなかった。

スマホを見る。

昨日の夜、勢いで契約した運動施設の画面。

「入会完了」

その文字だけが、ずっと頭に残っていた。

ベッドの上で天井を見る。

「……マジで行くのか」

急に怖くなった。

昨日までは勢いだった。

怒りだった。

変わりたいが爆発しただけだった。

でも今日は違った。

現実だった。

知らない場所。

知らない人。

鍛えている人達。

場違い感。

全部リアルだった。

過剰防衛のばつが、部屋の隅で笑っている。

やめとけって。

どうせ続かねぇよ。

お前みたいなの、ああいう場所一番向いてないだろ。

スマホを伏せる。

少しだけ、行かない理由を探した。

今日は疲れている。

明日からでもいい。

まず家トレ頑張ってからでもいい。

まだ早い。

金もったいない。

その時だった。

方向を示すまるが、横から顔を出した。

「で?」

「それ、昨日のお前にも言えんの?」

沈黙。

ばつが舌打ちする。

勢いで契約しただけだろ。

まるは笑う。

だから来たんだろ?

顔をしかめる。

怖かった。

めちゃくちゃ怖かった。

でも。

昨日、申し込みボタンを押した時。

少しだけ、人生が動いた感じがした。

あの感覚が、まだ身体に残っていた。

ゆっくり起き上がる。

バッグへタオルを入れる。

水。

財布。

イヤホン。

準備しているだけなのに、心臓がうるさかった。

駅へ向かう。

空気が重かった。

引き返したくなる。

運動施設の建物が見える。

デカかった。

ガラス張りだった。

人がいる。

鍛えられた身体。

笑い声。

一気に帰りたくなる。

ばつが笑う。

ほらな。

場違いだって。

入口の前で止まる。

呼吸が浅かった。

その瞬間、視界が揺れる。

未来の自分だった。

自然に施設の中を歩いていた。

今みたいに怯えていなかった。

肩の力が抜けていた。

呼吸も深かった。

未来の自分が、こっちを見て少し笑う。

最初、お前もそんな顔してたわ。

景色が消える。

現実へ戻る。

自動ドアが開く。

まるが、背中を押す。

「ほら」

「未来迎えに行くんだろ?」

小さく息を吐く。

そして、震えながら中へ入った。

受付。

マシンの音。

知らない匂い。

全部落ち着かなかった。

説明も、半分しか入ってこなかった。

とりあえず、言われた通り動く。

マシンへ座る。

重かった。

全然できなかった。

フォームも分からなかった。

隣の人は、めちゃくちゃ上げていた。

情けなくなる。

ばつが笑う。

な?

お前には無理だって。

でも、その時だった。

境界線を守るいかりが、少しだけ顔を上げる。

「……だから何だよ」

もう一回押す。

重い。

キツい。

ダサい。

でも、身体が熱かった。

呼吸が乱れる。

汗が落ちる。

その瞬間、未来の景色がまた揺れる。

知らない街。

夜風。

笑っている未来の自分。

深い呼吸。

広い背中。

景色が流れる。

消える。

トレーニングが終わる。

身体はボロボロだった。

足も重かった。

でも。

呼吸だけ違った。

施設を出る。

夜の街。

空気。

いつもと同じ帰り道。

なのに、少しだけ視線が上がっていた。

電車へ乗る。

窓へ今の自分が映る。

汗。

疲れた顔。

情けなさ。

でも。

ほんの少しだけ、姿勢が違った。

その瞬間。

窓の奥に、未来の自分が映った気がした。

笑っていた。

「いいじゃん」

思わず小さく笑う。

窓へ映る自分を見る。

まだ全然ダサかった。

身体も変わっていなかった。

人生も変わっていなかった。

でも。

昨日までの自分とは、少しだけ違っていた。

ほんの少しだけ胸を張る。

電車は、静かに夜の街を走っていた。

※この文章は、あくまで私の主観による文章です。


🧭 判断ログ

判断:契約したジムへ実際に行った
場面:初めてジムへ向かう日の朝から夜まで
やり方:怖さがあるまま準備して、ジムへ入り、マシンを使った
変化:帰りの電車で、自分の姿勢が少し変わった感じがした


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シリーズ6身体と習慣

主役キャラ:まる

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