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シリーズ1(内面)

何もしてないと思った

休みの日が、終わろうとしていた。でっさんは、机の前で背中を丸めていた。描きかけの絵が一枚。消しゴムのかすが、その横に散らばっている。「今日も、何もしなかった」訪ねてきたかなしが、絵をのぞいた。「それ、今日描いたんだろ」「描いたよ。でも……ま...
シリーズ1(内面)

始まりのスケッチ|第1話|始まりのスケッチ

昼下がりの、静かな部屋。カーテンの隙間から入る光だけが、部屋の輪郭をぼんやり浮かせていた。最低限の仕事だけして、あとは何もしたくない。仕事には行っているのに、感覚としてはほとんど動いていないのと同じだった。やりたいことがないわけじゃない。た...
シリーズ2(外界)

今日は、今日を

でっさんは、カンジョー通帳を開いていた。やってみたいことが、いくつも書いてある。昨日は面白そうだった一行が、今朝は宿題のように見えた。何から始めるか。 このままでいいのか。 また同じ一日になるんじゃないか。ページを戻り、また進む。「あー、も...
シリーズ4(ファンタジー)

色々と吐き出せるところ

でっさんは、白い画面に文字を置いた。《ここに、色々と吐き出していい》ばつが隣に座った。「まとまってなくても?」「うん」ばつは、文字を打ち始めた。《嫌だって言いたかった》《でも、言わなかった》《あとから、ずっと腹が立ってる》途中で止まり、また...
シリーズ2(外界)

カンジョー箱で俺を助けるために

電車の席に座ると、少し眠気が戻ってきた。でっさんはスマホを開いた。 今日も、仕事へ向かっていた。「あー、もう嫌だ」打ち込んでから、しばらく画面を見ていた。俺は毎日、何してるんだろう。 何が楽しいんだろう。 これから、どうしたいんだろう。その...
シリーズ1(内面)

『はじまりのスケッチ』
第10話|私が動く番

最初の一行を書いたあと、私は続きを書いた。放置していたスケッチブックへ、猫を描いたこと。父のパソコンを借りたこと。ティッシュを配り、自分のパソコンを買ったこと。デザインを学ぶため、環境を変えたこと。部屋で一人、創作を続けたこと。もっと外へ出...
シリーズ1(内面)

『はじまりのスケッチ』
第9話|残したかったもの

答えられないまま、私は白い画面を閉じた。物語を書き始める代わりに、パソコンの中にある古いデータを見返した。途中まで作った文章。使わなかった画像。何度も書き直した構想。その中に、昔描いた猫のデータが残っていた。父のパソコンを借りて、Illus...
シリーズ1(内面)

『はじまりのスケッチ』
第8話|格好悪いと思われたくなかった

翌日、私は昨日保存したファイルを開いた。白い画面の上で、入力するための線が点滅している。最初の一行を書こうとした。しかし、手は動かなかった。まだ決まっていないことが多すぎる。私は、そう考えた。けれど、前の日までに作った構想は、すでにいくつも...
シリーズ1(内面)

『はじまりのスケッチ』
第7話|始める前に

まるは、未完成のまま残った。それでも、カンジョー箱について考えることは続けた。自分の中にあるものは、理想だけではない。影。考える力。願い。拒む気持ち。喜び。怒り。悲しみ。楽しさ。私は、それぞれに名前を付けていった。まる。ばつ。かんが。ほしい...
シリーズ1(内面)

『はじまりのスケッチ』
第6話|まず、箱を作った

実家を出てから、毎月の生活費を自分で支払うようになった。大きな資金を使わないこと。在庫を抱えないこと。維持費を抑えながら続けられること。そんなことを考えながら、新しい方法を探していた。もう一度、何かを作りたい気持ちも残っていた。約一年半前、...