シリーズ1(内面)

シリーズ1(内面)

『はじまりのスケッチ』
第5話|早く稼ぎたかった

目いっぱい働いて貯めたお金を元手に、私は欧米輸入転売を始めた。海外から商品を仕入れ、販売する。売れれば、画面に数字が表示される。創作とは違い、結果がすぐに分かる。同じ方法を繰り返せば、また売れるかもしれない。そこに、即効性と再現性を感じてい...
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『はじまりのスケッチ』
第4話|外へ出たかった

参考書を見ながら、Illustratorの基本的な使い方を一通り覚えた。線を引く。形を作る。色を重ねる。スケッチブックの猫も、パソコンの中へ移すことができた。できることが増えるほど、もっと知りたいと思うようになった。Illustratorの...
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『はじまりのスケッチ』
第3話|自分のパソコン

父のパソコンを借りる時間が増えていった。参考書を開き、Illustratorを覚える。スケッチブックの猫を取り込み、その上へ線や色を重ねる。分からなかったことが、少しずつできるようになっていく。パソコンに向かっている時間が、私は好きだった。...
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『はじまりのスケッチ』第2話|次はどこに描く?

猫は、スケッチブックの上でゆっくりと歩き始めた。鉛筆で描いた線の上へ前足を置き、ページの端まで歩いていく。そこで立ち止まると、隣の白いページを見た。 そして、私を振り返った。「それで、次はどこに描く?」「次?」「ここには、もう描いたんだろ」...
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カンジョー箱 — 俺の人生を始める

「働いて、帰って、寝る。また明日も同じか」でっさんは、通帳を開いたままつぶやいた。生活は続いている。でも、自分で仕事を作る夢は、ずっと後回しだった。ほしいが、向かいに座った。「本当は、どんな毎日にしたかった?」「自分の商品を作りたい。売って...
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でっさんと、使い道のなかった気持ち

夜になると、でっさんの机には、使い道の分からない気持ちが残っていた。仕事で言い返せなかった悔しさ。誰かを見て、少しうらやましくなった気持ち。新しいことを始めたいのに、身体が動かない焦り。いらなが袋を開いた。「捨てる?」「いや、今日は置いとく...
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でっさんと、遠くの笑い声

仕事から帰ったでっさんは、靴も脱がずに床へ座った。大きな失敗をしたわけではない。ただ、身体の電池がほとんど残っていなかった。机では、かんがが新しい予定を整理していた。「進む方向は、だいぶ見えてきました」まるが紙に丸をつける。ばつは壁にもたれ...
カンジョー通帳

シリーズ1|ちゃんとしようとすると苦しかった|あとがき

このシリーズで一番書きたかったのは、「ちゃんとしようとしていたのに、身体だけが止まっていた理由」でした。怠けていた訳じゃなかった。むしろ、ずっと考えていた。求人も見ていた。面接動画も見ていた。履歴書も書こうとしていた。“進まなきゃ”とは、ず...
カンジョー通帳

シリーズ1|ちゃんとしようとすると苦しかった|第10話|決まらなかった

この記事の要約 でっさんは帰宅後も机の前で答えを探していた。 本や動画を見ながら考え続けたが、結論は出なかった。 ばつやかなしは残り、不安や焦りも消えなかった。 まるは急がせることなく静かにそこにいた。 何も決まらないまま、その日も終わった...
カンジョー通帳

シリーズ1|ちゃんとしようとすると苦しかった|第9話|喫茶店

この記事の要約 就職活動を止めたあと、喫茶店で本を読む時間が増えていった。 人生を立て直した人や、生き方を変えた人の本を読み続けていた。 答えは見つからなかったが、呼吸だけは少し深くなっていった。 自分の「こう生きなければならない」という感...